遠近両用眼内レンズとは?

 白内障の手術の際に水晶体の代わりに水晶体嚢に入れられる眼内レンズの多くは、単焦点眼内レンズと呼ばれる眼内レンズになります。単焦点眼内レンズはその名の通り、一つの場所でしかピントを合わせることができない眼内レンズになります。普通、水晶体は筋肉の収縮により、厚くなったり、薄くなったりすることでピントを合わせているのですが、眼内レンズではそれができないために、ある意味においては老眼とほぼ同じような状態になってしまうと考えられます。

 そこで、少しでも多くピントを合わせることができるように改良された眼内レンズに遠近両用眼内レンズと呼ばれるものがあります。遠近両用眼内レンズは、多焦点眼内レンズとも呼ばれるもので、遠くと近くや、遠くと近くの中間点など、複数の場所でピントを合わせることが可能になっています。

 ただし、遠近両用眼内レンズは、まだまだ開発中ということもありますし、認可をされたばかりの眼内レンズになっていますので、普通の単焦点眼内レンズに比べて手術にかかる費用も高額になりますし、遠近両用メガネをお使いになられたことがある方ならおわかりいただくことができるかと思いますが、慣れるまで時間がかかるものでもあります。
また、遠近両用眼内レンズの場合は、手術後の合併症として、グレア、ハローと呼ばれる症状が出ることがあります。グレア、ハローと呼ばれる症状は、夜など、暗闇の中で強い光を見た際に、その光が長く見えて眩しく感じたり、光の周りに輪ができているように見えたりすることを言います。こうした症状は時間が経つにつれて眼が慣れてくれば感じにくくなると言われていますが、感じ方には個人差がありますし、暗い中で行動をされることや仕事をされることが多いという方は事前によくお医者様にご相談されることをおすすめ致します。

 遠近両用眼内レンズは、老眼でお悩みの方や遠視の方にはおすすめできる眼内レンズになっていますが、近視の方の場合は、遠近両用眼内レンズを入れられることで近くが見えづらくなってしまうことも予想されますので、あまりおすすめすることはできません。遠近両用メガネにも向き不向きがありますように、遠近両用眼内レンズにも向き不向きがあります。遠近両用眼内レンズを入れられることで、かなり視力が回復される方もいらっしゃいますが、すべての方にそれだけの効果があるとは言い切れませんので、お医者様とよく相談をしていただくことをおすすめ致します。