知っておくべき手術のリスク

 いくら医術が進歩をして短時間で手術をすることができるようになったとはいえ、100パーセント安全であるとは言い切れない部分はあります。ここでは念のため、手術のリスクについてもお話をさせていただくことにしたいと思います。

 白内障の手術後では、手術前までは濁っていた水晶体が、クリアな状態の眼内レンズに入れ替わることで、視界がクリアになり、周りが眩しく見えたり、手術前と見えている世界の色が違って見えたりすることがあります。こうした症状は、濁りが取れたことによるもので、時間が経つにつれて慣れていき、気にならなくなりますが、視界がクリアになったことで、飛蚊症が気になってしまう恐れなどがあります。飛蚊症が気になる場合は、できるだけ早く医師に相談をしていただきたいと思います。

 また、後発白内障と呼ばれる、術後に見られる症状を訴えられる方もいらっしゃいます。後発白内障は、術後、一時的に視力は回復するのですが、だんだんと視力が落ちてきてしまう症状になります。この場合はレーザー治療によって視力を回復することができますので、この場合もできるだけ早く医師に相談されることが大切です。
 白内障の手術の場合、角膜を3ミリほど切開して水晶体を取り出したり、眼内レンズを挿入したりすることになりますので、角膜を切開したことによって眼になんらかの症状を引き起こしてしまう可能性があります。あまりにも角膜がひどい傷害を受けてしまうと、角膜が濁り、角膜移植を受けなければならなくなってしまう恐れもあります。また、角膜を切開する際に、眼球を傷つけてしまいますと、乱視になってしまう可能性もあります。

 眼の手術になりますので、場合によっては、眼に感染症が起こってしまう可能性もあります。そうした場合には、視力障害を引き起こしてしまう可能性も否めません。また、手術後に眼が出血により赤くなってしまうこともあります。眼の出血は場合によっては視力の回復が望めなくなってしまう恐れもありますので、手術前には、血圧の測定をし、血圧が落ち着いてから手術を始めることになってはいますが、こうした症状が起きないとは言い切れません。手術前には、血圧についても十分に気を付けられることが大切です。

 手術後にこれらのようななんらかの症状が出てしまった場合には、できるだけ早く医師のもとを訪れ、診察や詳しい検査をしてもらう必要があります。症状によっては、追加の治療をすることで視力が回復する場合もありますし、もしもの場合でも、発見が遅れるよりは、発見が早い方が安心ですので、手術後は眼を安静にされるとともに、視界についても問題がないか、気を付けていただきたいと思います。